「すき家のことは……ホントに、ホントに、大好きなんです……ッ!!」
「ちょ、え、お前なんで泣いてんの!?」 「好きだから……だから……。 だからもう行かないって決めたの!!」 ――TOKYO SUKIYA LOVE STORY. ACT2:東京社畜のタシナミ ~予感~ *** 【主な登場人物(詳細適当)】 ・吉野 松子(ヨシノ マツコ) 主人公。女。入社三年目にして社蓄。でも、そんな自分が嫌いじゃない。 会社最寄りのすき家店員「キム」が気になる。 ・キム 松子の会社最寄りのすき家店員。チャングンなんとかさんに似てる。 ・タブレット野郎 すき家で松子の隣に居たリーマン。もやしでメガネの男。バカでかいタブレットを所有。Twitterで松子をdisる。 【これまでのあらすじ(超粗め)】 とある残業帰りの平日23時。東京でハイパーにメディアをクリエイトしている吉野松子(24)は、今日も会社最寄のすき家に居た。お目当ては店員のキムであり、牛丼では無い。キムを舐め回すように眺めまくる一方で牛丼は残しまくる松子。すると松子の隣に座りバカでかいタブレットでTwitterをしていたリーマンが「牛肉の配分をミスったダサいひとww」と、松子をdisるツイートをする。それを見た松子はブチ切れ。リーマンからタブレットを奪い取り「バカでかいタブレットでTwitterしてる方がダサい!」 と盛大にシャウト。果たして松子の運命は?? *** 「こんなバカでかいタブレットで Twitterやってる方がだっせぇんだよっ!!」 タブレットを奪い取って怒鳴るあたし。 それを呆然と見上げるタブレット野郎。そして。 無表情で私達の間に入る、キム。 「スイマセーン。 ホカノ、オキャクサンノ、ゴメイワクニナリマスノデー。 オカイケーコチラデスー。スイマセーン。」 いつもに増して事務的なトーンで言うキム。 明らかに迷惑そう。 あーあ、完全、嫌われた。 終わった。あたしの恋、終わった。 もう、すき家来れないじゃん。 最悪。 「オ、オキャクサン、720エンのオツリ……。」 「結構です。」 キムの顔も見ず千円札だけ渡して店を出る。 そして、走る。 高校の頃は、陸上部に憧れていた生物部だったから 嫌なことがあると、とりあえず走るんだよね。 *** 「待てコラーーー!!」 後ろから、男の怒声が聞こえる。 何で?? お金払ったよね?? しかも720円余計に。 「ターーブーーレッーートーーー!!」 !!! いつの間にか小脇に抱えていた、 バカでかい板(若干邪魔)の存在を思い出す。 何か走りにキレがないと思ったら、こいつのせいか。 あたしに追いついて、ぜーぜー言ってるタブレット野郎に バカでかい板を手渡す。 「失礼いたしました。お返しいたします。」 「あぁ……ほんっとに……失礼極まりねぇ。」 それをひったくるように受け取るタブレット野郎。 ぎっ、と寄った眉間のシワが、 ヤツの人相の悪さに拍車をかけてる。 だから、ついイラッとして、 ほっときゃいいのに歯向かってしまった。 *** 「あんたも大概失礼でしょ? Twitterで人のこと密かに小バカにして。」 「あのね……。人のTwitterを無断で覗いたり、 公衆の面前で人のこと、 『だっせぇ』って怒鳴りつけたり、 挙げ句、人のタブレットをパクって逃げようとした オマエにだけは言われたくない。」 「覗いてないし! 見えたの! そのタブレットがバカでかいから!」 「オマエどこまでも失礼だな! 俺のことは何と言われようと知ったことねぇけど、 このタブレットと、あと、 すき家を冒涜するやつだけは許さねぇんだよっ!!」 一気にヒートアップ。タブレットがまさかの地雷とは。 意味分かんないし。マジでオタクめんどいし。 しかも、何でここですき家が出てくんの?? 「ぼっ……冒涜って大げさな。 それに、すき家に関してはむしろ崇拝してるわよ。 平日毎日通ってんだから。」 「崇拝してる人間が肉の配分ミスるかよ。」 「ミスってんじゃないわよ。美味しくないから残してんの。」 「やっぱ崇拝してねーし!! あーもう、頭きたわ!! オマエ、ちょっとツラ貸せ!!」 「えっ!? ちょ、ちょっと何すんのよ!」 もやしとはいえ、興奮気味の男に いきなり腕を掴まれたので、かなり焦る。 ほんとに、さっきから何をそんなにアツくなってんの?? *** 「何する気!?」 「決まってんだろ、すき家行くんだよ! そんでな、オマエのすき家に対する冒涜精神を 叩き直してやる!!」 「はぁ!? 意味分かんないし! てゆーか、さっきすき家行ったばっかじゃん! そんでキムに嫌われたし! 戻るの恥ずかしいし!」 「ばか、戻るわけねーだろ。つーかキムって誰だよ。 さっきの店とは別のすき家だよ。 あのデパートから、向こうに走ってる高速の下を横切る感じで 5分ちょっと真っ直ぐ歩けば、あるから。」 「ああ、そーなの? 知らなかった。」 「会社付近のすき家は、最低2店舗は把握しとくのが 東京社畜のたしなみだぜ。 分かったら、さっさと行くぞ。」 いやいや、何ひとつ分かんないし。 本気で意味分かんないし。 けど。 何となく、ついて行くことにした。 どーせ社畜だし? 明日休みなのに、どーせ予定ないし? それに、何となくだけど。 もっと、知りたくなったの……。 すき家のこと。 ACT3に続く。 *** 【こんなはずじゃなかったのに。】 タブレット野郎が主人公をすき家に誘うだけで まさか1話消化するとは思いませんでした。 さっきまで初対面、かつ喧嘩していた男女を どうやってすき家デートに持っていくか……。 そんなことばかり考えていた、盆でした。 ああ、やばいなぁ。楽しくなってきちゃったなぁ。 すき家抜きにして、単にフィクションを書くのが 楽しくなってきちゃったなぁ。 やばいなぁ。「イカコパララのすき家評論」ってテーマで ブログ書いてんのに、趣旨がブレてきちゃったなぁ。 まーた、冒頭に妙なフラグ立てちゃったし。 長くとも全5話で完結予定やのに、回収しきれるんだか。 次回は、ついに『中盛』が登場する……予定。 タブレット野郎の巧みな何やかんやで、 主人公は一気に“SUKIYA”に染められていく……予定。 花がつオクラ牛丼でも食べつつ、ゆるりとご期待下さい。
by ikako_pa_rara
| 2012-08-29 19:26
| Fiction.
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