デパートは3

◎Attention◎

ウルトラ雑多! 白目向くかも!
















***





いぬやねことあそんでいました。

いぬはふわふわ、ねこは2ひき。

たのしい。





「あ、いた! ちょっと!

5時からホームルームだって言ったじゃん!

また忘れてるんだから!」





たのしかったのに、たのしくなくなった。

あそんでいたら、しらないひとに、おこられて、つれていかれる。

このひとは、おとこのひと。しらないひと。





おとこのひとについてったら

つくえと、いすが、たくさんあって、

しらないひとがたくさん、すわっていました。
















***





ここは、学校です。

学校には、決まりや宿だいがたくさんあって、

決まりや宿だいを忘れると、先生や、同じ班の子におこられます。

わたしは5時から集まるという決まりを、わすれて、

犬やねこと遊んでいました。

だから、班の子がきてくれたのです。

おもいだしました。また、わすれていました。

ごめんなさい。





「じゃあ終わりの『トレーニング』をしよう。

今日はプリントの○○ページ。

ここに書いてあること、

班のみんなで覚えるんだよ。では、始め!」





先生が言いました。

すると、みんな、水色の本を読み始めました。

みんなが持ってる本、わたしは持ってない。なんで。





「プリント忘れたの?」

班の子、さっき来てくれた男の子が言います。

「もらってないよ」

「もらってないんじゃないよ、忘れてんだよ!」

またおこられました。

ごめんなさい。でも本当に、もらってないのに。





「ふふ、こいつにそんなこと言っても分かんないって。」

となりにすわっている男の子が、笑いながら言いました。





「だって、みんなで早く覚えないと時間が、」

「てゆーか、俺もプリント忘れたし。

わりぃけど白田のプリント、貸してくんない?

こいつと一緒に見るから。」

「お前もかよ! 全くどいつもこいつも!」

「早くしろよ、白田は俺らと違って頭いいから、すぐ覚えられるんだろ?」

「……分かったよ。」

「……わりぃね。」

「大和、いいか、絶対覚えろよ! 僕は他の子を見てくる。」





白田くんが向こうに行って、

大和くんが私にプリントを見せてくれます。

「もう時間くるから、早く覚えねーと、ヤバいね。」

大和くんといっしょに、プリントを読みます。










デパートは3

スーパーは2

コンビニは5

ぎんこうは9

ゆうびんきょくは8










デパートは……デパートは……。

だめだよ、こんなの。むずかしくて覚えられないよ。

いや、みんなは、むずかしくない。

でも、わたしは、むずかしい。

白田くんも、大和くんも、覚えられる。

でも、わたしは、覚えられない。

またおこられる。またみんなに、めいわくをかけてしまう。

どうしよう、こわい。覚えなきゃ。

デパートは3、デパートは3、デパートは3、デパートは3、デパートは3……。










「はい、時間だよ。プリントを閉じて。

じゃあ今日は白田の班からね。

5人全員に当てるから、当たった人から、

プリントに書いてあったこと、上から順番に、1つずつ答えるんだ。

5人全員答えられて合格だからね。」

デパートは3、デパートは3。

「じゃあ最初は……」

わたしと目が合った!!

「……嬉しそうだね。やっぱり後にしよう。最初は、伊藤さん。」










「……コンビニは、2?」

いとうさんがいうと、しろたくんが「それ3番目のやつだよ……」と、

ちいさなこえでいいました。

いとうさんがまちがえた。だから、がっこうのじかんは、おしまい。

はやく、ふわふわのやつとあそびたい。















***





がっこうおわって、いぬとあそんでいたら、

しらないおんなのひとがきました。

しらないひとですけど、このひとは、やさしいひとです。





「元気だった? お母さんだよ。」





このひとは、『おかあさん』というなまえの、

とてもやさしい、しらないひとです。





「『おかあさん』さん、こんにちは。」

おかあさんさんは、ちょっとだけ、わらいました。










おかあさんさんは、きいろの、おようふくをきていました。

つまんでみる。

ぴかぴか、きれい。

つるつる、きもちいい。





おかあさんさんが、いいました。





「これはね、ワ・ン・ピ・ー・ス。

お母さんの、お気に入り。

使ってるうちに、だんだん黄色くなっちゃったけど……。

どうしてだろうね??」














***





「……シルクだから。」

「え??」

「シルクの服は、時間の経過と、紫外線の影響により、

絹繊維中のタンパク質が、酸化することで、黄変する。」










「……何でシルクだって分かるの。」

「触れば分かるよ。いつも仕事で使ってるし……。」





え。

仕事。





仕事??










「あたし、仕事、してた??」










「してた! してたよ!

あなたはね、大きくて立派な会社で、

毎日遅くまで難しい実験をね、してたの!

お母さんの、誇りだった……っ!」


「ちょ、ちょっと母さん落ち着いてよ。

急にどうしたの? 何で急に泣くの?」


「……お母さんがお母さんだって……。

今日は、分かるのね?」


「今日は、って? わけ分かんない。

母さんは、いつだって、母さん以外の何者でもないでしょう。」


「うん、うん。ごめんね、そうだね。」


「あーもう、泣かないでよ。

てゆーか、あたし何してたんだろ……。

まーいーや。母さん、うちに帰ろう?」





そう言ってあたしが、笑い泣きみたいになっている

母さんの手を引こうとすると、

母さんは突然真顔になって、あたしの手を振り払った。





母さんは、唇噛み締めて、震えている。





「ごめんね。本当はすごくすごく、連れて帰りたいんだけどね。

……ここにいれば、今度こそ、

元のあなたが戻ってくるかもしれないから――。」


「元のあたし? 何それ。」


「………。」


「黙ってたら分かんないでしょ。

ねぇ、元のあたしってどういうこと?」





あたしが尋ねても何も答えてくれない母さん。

手を震わせ、左手に持っていた小さなノートを落とした。










そこに書かれていたこと。





白田は14

大和は11

近藤は6


あたしは8










正常値16~










『記憶指数』










【記憶指数が正常値から減るにつれ、これまでの記憶が徐々に消失すると同時に、言動・行動・感情等が退行していく。また、新たな記憶をすることが困難になる。】















***





――嗚呼、また、思い出した。





突然、物忘れが激しくなって。

あらゆる病院を転々としても、

回復どころか原因すら分からなくて。

そしていつしか、ここ、

『記憶指数開発センター』に辿り着いた。





表向きには『全寮制学習塾』。医者もカウンセラーも居ない。

胡散臭いのは分かっていた。

でも、他の手立てを考える余力など、もはや母にはなかった。





原因不明のまま、日に日に退行していく我が子を黙って見ているのが、

母にはもう、限界だったのだ。

もちろん、あたし自身も。










あの日以来、あたしは

いろんなことを忘れ、いろんなものを失い、

退行するだけの日々を過ごしている。

それでも時々、何かしらのきっかけで、

こうして『一時的』に、記憶と理性が戻る。





でも、こんなこと思い出したって、どうにもならない。

思い出しても、つらいだけ。

だったら、「つらい」が、分かんなくなるくらいに。

もう、何にも、二度と、分かんなくなるくらいに。

あたしのこと、はやく、完全に。





ぶっ壊せよ!










「ねぇ、泣かないで。お母さんだって、つらいの。」


「うそつけ!!!










分かるわけない、分かってたまるかよ!!

あんたには未来があるんだから!!

あたしが完全にぶっ壊れた後の未来が!!

ぶっ壊れるのはあたしなんだ!! あたしだけなんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」




















***





ねていて、おきたら、

しらないおんなのひとが、わたしを、だっこしてくれてました。

とてもやさしい、しらないひと。なまえは、わすれました。





ごめんなさい。




                               



***





って感じの、夢をみました。

本気の悪夢は久しぶりです。





夢特有の断片的な部分は都度補足していますが

大筋は夢での体験で、新たに考え出したものではないです。

もっとライトな夢を定期的にみれたら、

ケータイ小説家くらいなら、なれるかもね。

副業副業。ギブミー金銭。










夢中の主人公(すなわち私)の仕事内容は、現職のものとは異なります。

実際の夢(何この矛盾に満ちた表現)は、現職に即したエピソードでしたが、

どうも第三者に伝えづらいものだったので。





あと、主人公が名無しなのは、敢えてです。

最初は「イカ」って書いていたんですがね、

ええ、お察しのとおり、悪夢の世界観が台無しになってしまいましてね……。

ふざけたハンドルネームにすると、こういうとき本当に、不便ね。
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by ikako_pa_rara | 2012-07-19 22:06 | Fiction.
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勢いで上京した人の自堕落な追憶
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